はじめに

「転職したいけど、何から始めればいいかわからない」

そう思って、とりあえず転職サイトを開いてみた経験はありませんか?気になる求人をいくつかブックマークして、なんとなく眺めてみる。 でも結局、どれが自分に合っているのかよくわからないまま時間だけが過ぎていく。

あるいは、転職したことがあるけれど、入社してみたら「なんか違う」と感じてしまった。給与は上がったのに、なぜかモヤモヤが続いている——そんな経験をお持ちの方もいるかもしれません。

この記事では、転職活動で最初にやるべきことについてお伝えします。それは「自分の価値観を明確にすること」です。

難しそうに聞こえるかもしれませんが、やり方さえわかれば誰でもできます。

そしてこれをやるかやらないかで、転職後の満足度が大きく変わります。


転職活動の「よくある失敗」、あなたは当てはまっていませんか?

転職活動でよくある失敗パターンがいくつかあります。

「とりあえず求人から見る」

転職軸が固まらないまま求人を先に見ると、条件の良さや会社名のネームバリューに引っ張られて判断がブレやすくなります。

「なんとなく大手だから安心かな」 「年収が高いからここにしよう」

——そうやって選んだ会社が、入社後に「思っていたのと違う」となるケースは少なくありません。

「年収アップだけ」を軸にする

待遇や年収だけを理由に転職先を選ぶと、入社後に

「カルチャーが合わない」 「仕事に意味を感じない」

という不満が出やすくなります。年収はスキルや成長に伴ってついてくるもの。

それ自体を主な軸にすると、お金が満たされても何かが空虚という状態になりがちです。

「今の会社から逃げること」が目的になっている

残業が多い、

上司が合わない、

給与が低い

——こうした不満から転職を考える人は多いですが、「何から逃げるか」が目的になっていると、転職先でも別の不満が生まれたときに同じパターンを繰り返してしまいます。

価値観を全部「同列」に並べてしまう

「給与も、働き方も、キャリアアップも、社風も全部大事」と並べると、企業を絞れなくなります。すべてが大事なのはわかりますが、優先順位がなければ軸になりません。

これらの失敗に共通しているのは、「自分が何を本当に大事にしているか」を整理しないまま動き始めていることです。

転職活動で迷う人のイメージ


データが示す「価値観と仕事の合致」の圧倒的な重要性

これは感覚論ではありません。データが裏付けています。

Gallupが2025年に発表した調査によると、仕事に「目的意識」を強く感じている従業員と、そうでない従業員では、転職を検討する割合に大きな差がありました。

  • 目的意識が強い従業員:転職を検討・活動中 41%
  • 目的意識が低い従業員:転職を検討・活動中 68%

この「目的意識」というのは、言い換えると

「自分の価値観と仕事が合っているか」

ということです。

自分がどうありたいか、何を大事にしたいか——それと仕事がリンクしていると感じられる人は、今の仕事を頑張れる。リンクしていないと感じると、どれほど条件が良くても「なんか違う」という感覚が拭えないのです。

国内のデータも同じことを示しています。

日本能率協会総合研究所が2024年に1万人を対象に行った調査では、転職を思い留まらせる理由のトップは「仕事のやりがい(26.9%)」で、「給与(22.9%)」を上回りました。

やりがいとは何か。

それは「自分の価値観と仕事の内容・仕方が合致している感覚」だと私は考えています。

つまり、価値観が明確な人ほど、転職後も長く働き続けられる仕事を選べる可能性が高い。

さらにマイナビの2024年調査では、直近1年の転職者のうち20.1%が1年未満で再転職していることもわかっています(2021年の調査開始以来、初めて2割超)。

価値観を整理せずに「条件」だけで転職した結果、また転職を繰り返してしまうケースが増えていると考えられます。


私自身の経験——強みの使い方を知っていれば

少し私の話をさせてください。

私は当時、エンジニアをしていました。

そのときはストレングスファインダーも知らず、自分の強みについてほとんど意識したことがありませんでした。

エンジニアとして、プロジェクトリードをする機会があり、スケジュール管理や日程を引く作業が求められました。

今考えると、私の上位資質は「適応性」「ポジティブ」「最上志向」といったもので、規律性や戦略性は下位資質にあります。

でも当時はそんなことを知るよしもなく、ただひたすら下位資質を無理に使い続けていました。

その結果、いつもギリギリの合わせ込みになる。

なんとか帳尻を合わせるものの、しんどい。

毎回「自分はスケジュール管理が苦手だ」という自己評価が積み重なっていきました。

今振り返ると、本来は上位資質の組み合わせで下位資質をカバーするアプローチするという意識があればよかったのですが、下位資質である規律制などを無理に鍛えようと頑張っていました。

結果、特に上達するわけではなく、毎回自分が苦手だということを再実感する。 そんなことがありました。

そのときに自分の上位資質をうまく使うということが意識できていたら、 もっと楽な気持ちで別のアプローチを取れたかもしれません。

たとえば、「適応性」を活かして変化に柔軟に対応しながら進める。 「最上志向」で品質を高めることに集中する。

そういったやり方で、スケジュールのきつさを別の強みで補う方法があったはずです。 また、自分の強みはこれだから規律制が必要なやり方は合いづらい、日程管理をきちんとしなければならないという観念から、どうやればいいかを考えることで、より楽な気持ちで仕事に当たれたのではないかと思います。

これは「強みを使う」ということの具体例ですが、それ以前に大事なのは「自分がどう動くのが自然か」という価値観の部分でもあります。

価値観と強みは密接に関連しています。自然にできる行動、才能を使っている場面で、人は輝いている・楽しんでいるということが多いためです。

この、価値観についてですが、 普段の仕事や日常ではなかなか意識することは少ないかもしれません。

私は人事として社員のキャリアデザインの話をする機会がありますが、

「自分の価値観をきちんと考えたことがある」 という人は、思いのほか少ないのが現実です。

転職やキャリアを考えるタイミングでもなければ、日常的に意識することはほとんどない。 でもその結果、知らず知らずのうちに「何のために仕事をしているのか」が抜け落ちてしまい、やりがいが下がっていく。 やりがいが下がれば、エンゲージメントも下がり、転職したくなる——この連鎖は、現場でも本当によく起きています。


価値観を明確にする、具体的な方法

では、どうやって価値観を明確にするのか。難しく考える必要はありません。まずは「自分が輝いていた瞬間」を思い出すことから始めてください。

価値観を整理して転職軸を見つけるイメージ

Step 1:「楽しかった場面」をリストアップする

仕事でもプライベートでも構いません。振り返ってみて、「あの時が一番楽しかったな」「あの時は自分らしかった」と思える場面を書き出してみましょう。いろいろな経験や場面を思い返してみましょう。

たとえば、こんな問いかけが参考になります。

プライベートの場面:

  • 友達と旅行に行ったとき、何が一番楽しかった?   みんなでワイワイしている状態?1対1で深く話せた瞬間?それとも一人の時間が一番ほっとした?

  • 家族の集まりで、どんな場面が一番充実していた?全員の笑顔を見ている時?   特定の人と濃い時間を過ごした時?

  • 趣味で、誰とも関わらず黙々と作業している時間に幸せを感じる?

仕事の場面:

  • 分析や調査をしているときに「自分らしい」と感じる?
  • チームでディスカッションして物事が動いていく感覚が何より楽しい?
  • 成果を出したときの満足感が最も高いのは、どんな仕事の仕方をしていたとき?

これらに正解・不正解はありません。自分が自然に楽しめている状態を、できるだけ正直に振り返ることが大切です。

Step 2:共通点を探す

リストアップした場面を見渡して、「楽しさの共通点」を探してみましょう。

たとえば「人と深く関わっているとき」が共通しているなら、人との関係性を大切にすることが価値観の一つかもしれない。

「一人で集中して何かを作り上げているとき」が多いなら、自律性や専門性への価値観が強いかもしれない。

「チームで同じ目標に向かっているとき」が楽しいなら、仲間と共に達成することへの価値観が見えてきます。

Step 3:ストレングスファインダーでサポート

ここにストレングスファインダーが力を発揮します。

自分が「自然に取りやすく、そこに喜びを感じる行動」は、上位資質に基づいている可能性が高いです。

たとえば「共感性」が上位にある人は、人と深く関わることが自然と楽しい。 「達成欲」が上位にある人は、タスクを完了させることに強いエネルギーを感じます。

過去の輝いていた経験を振り返りながら、「この資質があるから、あの行動が自然だったんだ」と紐づけていく作業をすると、価値観の解像度がぐっと上がります。資質が分かれば価値観が補強され、価値観が分かれば資質の意味が腑に落ちる。この両方が揃うと、自己理解が一段と深まります。


価値観が明確になると、転職活動がこう変わる

価値観が整理できると、転職活動での行動が変わります。

求人票を見るときに「条件が良い悪い」ではなく、「自分の価値観と合うか」という視点で見られるようになります。 面接での志望動機も、「この会社に行きたい理由」が自分の言葉で語れるようになります。

給与・働き方・キャリア・会社の文化——転職を考えるうえで重要な要素はいくつかありますが、それらの優先順位も「価値観」をベースにすると自然と見えてきます。

たとえば、

家族との時間を最も大切にしたいと気づいた人なら、 多少年収が下がっても柔軟な働き方のできる会社が最優先になるかもしれない。

経済的な安定を先に確保したい状況にある人なら、 給与水準を最初の絞り込み条件にするのは合理的な判断です。

価値観に基づいた優先順位があれば、企業を選ぶ基準がブレなくなります。

そして選んだ会社で、長く働き続けられる可能性が高まります。


まとめ

転職活動で最初にすべきことは、求人を探すことでも履歴書を書くことでもありません。「自分が何を大事にしているか」という価値観を明確にすることです。

Gallupのデータが示す通り、価値観と仕事が合致していない人の68%が転職を検討しています。転職先でも同じことを繰り返さないために、まずは自分を知ることから始めてください。

過去の「楽しかった瞬間」を思い出し、共通点を探し、ストレングスファインダーで補助する。この流れで、あなただけの転職軸が見えてきます。

「自分の価値観がよくわからない」「ストレングスファインダーの結果はあるけど、転職にどう活かせばいいかわからない」——そんな方は、ぜひ一度お話しください。無料相談では、あなたの状況をお聞きしながら、価値観と強みの整理をご一緒します。

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